平成 18 年度新潟歯学会第 1 回例会

日時 平成18年7月8日(土) 午前10時50分〜午後15時45分

場所 新潟大学歯学部第 3 講義室 (5F)

プログラム

一般口演 10:50 〜 11:40

休   憩 11:40 〜 12:40

一般口演 12:40 〜 13:30

休   憩 13:30 〜 13:45

教授就任講演 13:45 〜 15:45

一般口演

座長 小林 正治、山村 健介

1. 10:50

関節可動域計測記録システムの構築

○平野秀利,山田好秋

新潟大学大学院医歯学総合研究科 摂食環境制御学講座 口腔生理学分野

2.11:00

顎顔面形態と筋突起形態との関連性について?横断的資料を用いた統計的評価?

○鳥巣隆弘,山田一尋,八巻正樹,福井忠雄,中村順一,齋藤 功

新潟大学大学院医歯学総合研究科 歯科矯正学分野

3. 11:10

閉塞型睡眠呼吸障害への歯科的アプローチ -上下分離型と一体型口腔内装置の治療効果の比較検討について-

○岩本忠士、高田佳之、泉 直也、長谷部大地、小林正治、齊藤 力

新潟大学大学院医歯学総合研究科 顎顔面再建学講座 組織再建口腔外科学分野

4. 11:20

本院におけるインプラントCT撮影の現状

○小山純市,西山秀昌,平 周三,勝良剛詞,斎藤美紀子,田中 礼,林 孝文

新潟大学大学院医歯学総合研究科 顎顔面放射線学分野

5. 11:30

南魚沼市立ゆきぐに大和病院歯科口腔外科常勤化後 1年間の入院患者の臨床的検討

○加納浩之、佐藤直幸、小林正治 1

南魚沼市立ゆきぐに大和病院 歯科口腔外科

1 新潟大学大学院 医歯学総合研究科 組織再建口腔外科学分野

一般口演

座長 ステガロユ ロクサーナ、渡邉 直子

6.12:40

新潟大学医歯学総合病院摂食・嚥下リハビリテーション室の開設と現況

○井上 誠1,大瀧祥子1,山下 庸1,船山さおり2,谷口裕重2,柴田佐都子3,人見康正2,山田好秋1,2,3

1新潟大学医歯学総合病院 摂食・嚥下機能回復部

2新潟大学大学院医歯学総合研究科 摂食・嚥下障害学分野

3新潟大学大学院医歯学総合研究科 口腔生理学分野

7.12:50

二次的顎裂部骨移植の時期の違いが上顎骨の成長発育におよぼす影響について

○碓井 由紀子1、小野 和宏2、朝日藤 寿一3、高木 律男1、齋藤 功 3 、八木 稔 2

1 新潟大学大学院医歯学総合研究科 顎顔面口腔外科学分野 2 新潟大学歯学部 口腔衛生支援学講座 3 新潟大学大学院医歯学総合研究科 歯科矯正学分野

8.13:00

Failure resistance and failure mode after cyclic loading of teeth restored with two post and core systems.

◯Farhana Sharmin1, Roxana Stegaroiu2, Naoto Okada1, Eriko Kitamura1, Shuichi Nomura1, Osamu Miyakawa3.

1Division of Oral Health in Aging and Fixed Prosthodontics and 3Biomaterial Science, Niigata University Graduate School of Medical and Dental Sciences, 2Department of Oral Health and Welfare, Faculty of Dentistry, Niigata University.

9.13:10

Relationship between microstructural changes of alveolar bone and spinal osteoporosis (歯槽骨の微細骨構造変化と腰椎骨粗鬆症との関連性について)

○Rezwana Binte Anwar1, Mikako Tanaka1, Shoji Kohno1, Hiroshi Kobayashi1, Naoko Watanabe2, Mir Nowazesh Ali3, Sadakazu Ejiri3

1Div. of Removable Prosthodontics, 2Div. of Orthodontics,3Div. of Anatomy and Cell Biology of the Hard Tissue, Niigata University Graduate School of Medical and Dental Science.

10.13:20

歯根膜ルフィニ神経終末の発生過程における GDNF および RET の発現

○五十嵐 靖,相田 恵,河野芳朗,Tharanga Nandasena,鈴木晶子,野澤-井上佳世子,前田健康

新潟大学大学院医歯学総合研究科 摂食環境制御学講座 口腔解剖学分野

教授就任講演

座長 山田 好秋 会頭

13:45〜14:25 口腔生命福祉学科の現状と課題

講師 新潟大学歯学部 口腔生命福祉学科 口腔介護支援学講座 富沢 美惠子 教授

 平成16年4月、歯学部口腔生命福祉学科が歯科衛生士と社会福祉士を統合した新しい職業人育成のため開設され、教授を拝命した私も3年目を迎えました。現在、歯科衛生士教育は、平成17年4月の歯科衛生士学校養成所指定規則の改正を受け、修業年限が2年から3年以上へと変更され、全国の養成機関において、教育内容の改革や新しい体制づくりが急がれております。平成18年4月の改正介護保険制度には、口腔機能の向上、栄養改善、運動器の機能向上が介護予防として取り入れられ、口腔生命福祉学科の目的とする医療・保健・福祉の統合が制度としても整備されてきました。

 現在の状況の中、最初の4年制学士課程の教育を担うものとしての責務は大きく、今後歯科衛生士の業務拡大や歯科以外の分野への進出など、この機会を十分意義あるものとして生かせるよう、PBL(Problem Based Learning)や医療・福祉の現場体験を中心としたカリキュラム編成、キャリアインターンシップの導入などを行っています。

 私はこれまで小児歯科医として、健常児や障害児・者、全身疾患のある小児の歯科治療や口腔管理、歯牙腫、口腔線維性病変、粘液?胞、顎骨?胞など小児の口腔疾患に関する臨床病理学的研究を行ってきました。今後は、さらに福祉分野への歯科的関与、歯科医療の利点を生かした福祉相談センターとの連携など、学科の方々の協力を得て、地域に開かれた大学としての役割を担っていきたいと考えています。

  また、全国へ向けての口腔生命福祉学科の存在のアピール、少子化の中での受験生増対策、就職支援、修士課程の設置など課題はたくさんありますが、意欲ある学生たちや教員の輪の中で一歩ずつ進めていきたいと思います。本講演では、現状と課題、私の抱負を述べ、皆様から忌憚のないご意見を賜れば幸いです。

15:05〜15:45 歯周疾患の病態形成における免疫機構の関与と全身疾患との関連

講師 新潟大学歯学部 口腔生命福祉学科 口腔衛生支援学講座 山崎 和久 教授

 大学の役割は社会情勢の変化に応じて変遷するーーーそれは一面正しいことかもしれませんが、個人的には、昨今の大学は本来あるべき“最高学府” の姿から離れて行っているように思えます。 特に独立行政法人化してからの大学は大変厳しい状況に置かれています。自然科学系の学問を行う学部においては研究が教育の基盤を為すべきであると考える人間はもはやマイナーな存在になった感さえしてきます。卒業後に、当時原 耕二教授が主宰する歯科保存学第二講座に入局したとき、医局には研究重視の(それは決して教育や臨床を軽視するということでなく)雰囲気がただよっていた気がします。さらに大学院生として口腔生化学講座の野原廣美教授の下で研究を行うという幸運にも恵まれ、その後歯周病専門医ながら基礎的な研究を行っていたクイーンズランド大学のDr. G. J. Seymourのラボに留学するに至って、教育・臨床の基盤としての研究(科学)の重要性に関してさらに意を強くして帰国しました。研究をすることは歯学教育・歯科臨床において科学的なものの見方を育成するために極めて重要であると認識し、この目的のため歯周疾患の免疫学的病因解明をメインテーマに多くの共同研究者・大学院生とともに研究を行ってきました。

 本講演では歯周疾患罹患組織における、自己HSP60特異的T細胞およびそれらを制御する調節性T細胞の存在と、それらが歯周組織ならびに全身の健康にどうかかわるかを明らかにするまでの研究を中心に振り返り、今後の展望についても言及したいと思います。 最後に、研究者として大きな影響を与えてくれた、尊敬する野原廣美名誉教授が本年4月20日に逝去されました。謹んでご冥福をお祈りいたします。