一臨床一
傍咽頭隙から頭蓋底に進展した
顎下型ガマ腫の2例
中條 智恵,高田 真仁,河野 正己,
中島 民雄,林 孝 文*,鈴木 誠**
新潟大学歯学部口腔外科学第一講座
(主任: 中島 民雄 教授)
*新潟大学歯学部歯科放射線学講座
(主任: 伊藤 寿介 教授)
**新潟大学歯学部附属病院病理検査室
(室長: 朔 敬 教授)
抄録:傍咽頭隙から頭蓋底にまで進展した巨大な顎下型ガマ腫2症例を報告した。症例1は10歳女性で,初診時,右側顎下部に波動を触れる腫脹を認めた。症例2は17歳女性で,初診時,左側顎下部に同様の腫脹を認め,触診にて波動を触れた。口腔内所見としては,2症例とも,口底部に腫脹はなく,舌下小丘からの唾液の流出は良好で排膿はなかった。術前のCTでは,舌下隙と連続性し,傍咽頭隙から頭蓋底に達した嚢胞様病変を認めた。どちらも顎下型ガマ腫の臨床診断にて,全身麻酔下でガマ腫開窓術と舌下腺摘出術を施行した。2症例とも再発なく経過良好であった。周囲組織隙に広く進展したガマ腫の診断と治療にはCTと舌下腺摘出が有効であった。
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