一原著一
歯周外科手術の治療効果に関する臨床統計的観察
村田 雅史,奥田 一博,百瀬 学
野村 隆,呉 忠憲*,原 耕二
新潟大学歯学部歯科保存学第二講座
(主任:原 耕二 教授)
*台北医学院口腔復健医学研究所
(所長:李 勝揚 助教授)
抄録:平成8年から9年までの1年間に新潟大学歯学部附属病院第二保存科外来に来院した患者の中から歯周手術適応213名について歯周外科手術を行い,1年間の経過観察した症例を含めて集計した。結果は外科手術種類別に歯肉剥離掻爬手術(フラップ手術)201例,歯肉歯槽粘膜形成術6例,歯根端切除術4例であった。このうちフラップ手術を行った成人性歯周炎患者111名の184歯について治療効果を統計学的に比較検討を行った。基本治療後とフラップ手術後のプロービングポケット深さの減少量,臨床的アタッチメントレベルの獲得量を比較すると,両者ともに初診時ポケット深さとの間に有意に正の相関関係が認められ,いずれもフラップ手術後の方が基本治療単独よりも値が大であった。
@プロービングポケット深さの変化
プロービングポケット深さの減少量はフラップ手術後6ヶ月目で前歯・小臼歯群で1.9±1.2mm,大臼歯群で3.3±1.0mm,1年目では前歯・小臼歯群で1.9±1.1mm,大臼歯群で3.0±1.3mmとなり,いずれも基本治療後のベースライン時と比べて有意な改善が見られた。
A臨床的アタッチメントレベルの変化
臨床的アタッチメントレベル獲得量はフラップ手術後6ヶ月目で前歯・小臼歯群で1.0±1.2mm,大臼歯群で1.0±1.4mm,1年目では前歯・小臼歯群で1.0±1.2mm,大臼歯群で1.5±1.7mmとなり,同様にベースライン時と比べて有意な改善が見られた。また,いずれも6ヶ月目の状態が1年後にも良好に維持されていた。
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