一原著一
最近14年間における外来患者の臨床統計的観察
阿部 哲也,飯田 明彦,高木 律男,星名 秀行
小野 和宏,鍛冶 昌孝,今井 信行,服部 幸男
安島 久雄,大橋 靖
新潟大学歯学部口腔外科学第二講座
(主任:高木律男 助教授)
抄録:1983年12月から1997年11月までの14年間に,新潟大学歯学部第2口腔外科を受診した新来患者についての臨床統計的観察を行い,本学会誌14巻2号に報告した開設以来10年間の結果と比較し,以下の結果を得た。
1.対象期間中における新来患老総数は,15,415名で,性別は,男性6,509名(42.2%),女性8,906名(57.8%),年齢構成では,20歳代が,21.3%と最も多く,開設後10年に比べ大きな変化は認められなかった。
2.居住地別患者数をみると県外からの患者の割合が4.0%(開設後10年:2.6%)と増加していた。
3.紹介機関別頻度では,医学部附属病院を含む他の医療機関からの紹介患者の割合が前回調査を上回る40%台を維持し,最近では50%を超える年も認められ増加傾向を示した。
4.疾患別年平均患者数では顎関節疾患が121例(開設後10年:42例),顎変形症が38例(同:6例)と著明に増加しており,腫瘍も34例(同:24例)と増加を認めた。裂奇形は,49例と患者数に大きな変化はないものの,このうちで一次症例の占める割合は65%(同:37%)と高くなっていた。以上,口腔外科的疾患の占める割合が,増加しており,本院が新潟地区における口腔外科の基幹病院として重要な役割を果たしていることが示唆された。今後更に臨床研究を発展させ,口腔外科医療の向上に努める所存である。
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