−原著一

口唇裂口蓋裂発生に関与する母体環境の調査
碓井由紀子,小野 和宏,高木 律男,鍛冶 昌孝
永田 昌毅,飯田 明彦,今井 信行,神成 庸二
藤田  一,早津  誠,大橋   靖
新潟大学歯学部口腔外科学第二講座
(主任: 高木 律男 助教授)


 抄録:口唇裂口蓋裂は遺伝的要因と環境要因の相互作用によって発生するといわれている。口唇裂口蓋裂の発症に関与する母体の環境要因を明らかにするために,今回私たちは,症例-対照研究を行った。
 対象は1990年から1995年に出生し,当科を受診した口唇裂または口唇口蓋裂児の母親75名(以下,口唇裂群),口蓋裂児の母親32名(以下,口蓋裂群),および,対照として1993年に出生した健常児の母親201名(以下,健常群)である。
 調査方法は,この研究のために作成した質問票を用いて,聞き取り方式で行い,それぞれの調査項目において各群を比較し検討した。検定方法は,t検定およびχ2検定を用いた。
 その結果,口唇裂群では妊娠初期の感冒罹患の有無で健常群との間で有意差が認められ(p < 0.05),口唇裂口蓋裂発生との関連が示映された。
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