―臨床―

KTPレーザーによる光凝固療法を施行した口腔内血管腫の3例


小林正治,野村 務,河野正己,新垣 晋,中島民雄
新潟大学歯学部口腔外科学第一講座
(主任:中島民雄 教授)


抄録:
 KTPレーザーによる光凝固療法を施行した口腔内血管腫の3例を報告する。KTPレーザーは,波長532nmの緑色可視光で,ヘモグロビンに極めて良く吸収され,水にほとんど吸収されず,組織浸透度が比較的浅いという特性を持ち,血管腫の光凝固に適している。症例1は,38歳女性で,上唇に表在性の血管腫を認めた。症例2は,43歳女性で,下唇に表在性の血管腫を認めた。症例3は,55歳男性で,上下唇,右側頬部および舌に多発性の血管腫を認めた。治療は,局所麻酔下に出力1.5WのKTPレーザーを血管腫全体に連続照射した。2例の表在性血管腫は,術後消失し,瘢痕形成も軽度であった。症例3では,深部の血管腫には効果がなかったものの,表在性の部分では腫瘍が減量され,表面からの出血も術後は認めなくなった。以上の結果から,KTPレーザーによる光凝固療法は,表在性の血管腫に対する効果的な治療法となりうることが示唆された。


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