顎骨嚢胞521症例の臨床的検討


鈴木君弘、星名由紀子、中島民雄
新潟大学歯学部口腔外科第一講座 (主任:中島民雄教授)


抄録:
 第一口腔外科を受診し病理組織学的に確認できた521例の顎骨嚢胞について、その頻度・性・年令・主訴・部位について検討した。
 歯根嚢胞(49.3%)が最も多く、以下、術後性上顎嚢胞(20.7%)、含歯性嚢胞(13.0%)、原始性嚢胞 (10.8%)、鼻口蓋管嚢胞(3.8%)、単純性骨嚢胞 (2.3%)であった。男女比は1.6:1で、単純性骨嚢胞以外のすべての嚢胞で男性が多かった。40才代が最も多く、30才代から60才代までで全体の75%を占めた。主訴では腫脹が最も多く、腫脹、疼痛またはその両者の合計は患者の62.4%であり、症状のなくレントゲン写真によって指摘されたのは24%であった。発生部位は、上顎前歯部(39.4%)、上顎臼歯部(29.9%)下顎臼歯部(24.6%)下顎前歯部(6.1%)の順であった。
 この分類は、顎骨嚢胞の分類にきわめて有用であった。


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