小児の歯科治療時の適応状態について
−介助の立場から−
もたい淳子、田邊義浩、野田 忠
新潟大学歯学部小児歯科学講座 (主任:野田 忠教授)
抄録:
歯科治療時における小児の適応性と心理状態を知る目的で、新潟大学歯学部小児歯科外 来を受診した2歳から6歳の小児27名について、治療前後の状態の観察と治療中の行動 の評価を行った。さらに、調査した項目について主成分分析を行い、その関連性について 検討し、以下の結論を得た。
1. 歯科治療中、不適応と評価された患児は、治療前も不適応な状態にあるが、治療が終了すると比較的短時間のうちに回復する者が多かった。
2. 歯科治療中、泣いても非協力的な動きを認めない患児と治療に協力的な患児は、治療前
後の状態に大きな差を認めなかった。
3. 治療中の患児の非協力的な動き、泣き、否定的な言葉の頻度の評価得点は、患児の年齢と高い相関を認めた。さらに、主成分分析の結果から加齢による適応状態の改善が示唆された。
4. 術者らの言葉かけに対する患児の反応は、年齢や非協力的な動き・泣きとは相関が少なかったが、主成分分析の結果、受診回数の多い患児の反応がよいことが示された。