耳下腺唾石症の4 例
横林康男,日
出嶋康博,前田美智之,川北小百合
富山県立中央病院歯科・口腔外科(主任:
横林康男部長)
抄録:
耳下腺唾石症の報告は比較的少ない。今回,私たちは耳下
腺唾石症の4例を経験したので,その概要を報告する。
症例1は31歳の女性で右頬部の硬結を主訴として当科を受
診した。右化膿性耳下腺炎,右耳下腺導管内唾石症の診断に
て,口内法で唾石摘出術を施行した。術後3年7か月を経過す
るも再発は認めない。
症例2は24歳の女性で左頬部の腫瘤を主訴として当科を受
診した。左耳下腺導管内唾石症,右顎下腺導管内唾石症の診
断にて口内法で耳下腺唾石摘出術,顎下腺唾石摘出術を施行
した。術後6か月を経過するも再発は認めない。
症例3は62歳の男性で右頬部の硬固物を主訴として当科を
受診した。右耳下腺導管内唾石症の診断にて,口内法で唾石
摘出術を施行した。術後4か月を経過するも再発は認めな
い。
症例4は64歳の女性で左頬部の腫脹を主訴として当科を受
診した。左化膿性耳下腺炎,左耳下腺導管内唾石症,左頬部
蜂窩織炎の診断にて抗生物質の投与を行ったところ症状は消
失し,唾石は自然排出したものと考えられた。その後の経過
は良好である。