顎下型ガマ腫の1 例


横林康男,日 出嶋康博,前田美智之,川北小百合
富山県立中央病院歯科・口腔外科(主任: 横林康男部長)


抄録:
 顎下型ガマ腫は顎下部に生ずる粘液嚢胞で,その報告は比 較的少ない。今回,私たちは顎下型ガマ腫の1例を経験した ので,その概要を報告する。
 症例は38歳の女性で,平成4年7月30日,右顎下部の腫脹を 主訴として当科を受診した。全身的所見では間題なく,口腔 外所見では右顎下部に腫脹を認め波動を触れた。口腔内所見 では右口底部に軽度腫脹を認めた。造影X線所見,MRI所見と もに右顎下部に嚢胞様病変を認めた。
 処置および経過:右顎下型ガマ腫の診断にて吸引・圧迫療 法を2度行うも再発したため,平成4年12月17日,右舌下腺摘 出術,ガマ腫開窓術を施行した。術後3年8か月を経過したが 再発は認めず経過良好である。
 病理組織学的所見では,舌下腺に慢性の唾液腺炎を生じて いた。


目次へ戻る