遊離前腕皮弁によ る口腔癌一次再建術22例の検討
位下真一,大
西 真,堀野一人,笠井郁雄,大山登喜男
長岡赤十字病院歯科口腔外科(主任:大西
真部長)
抄録:
近年,口腔外科領域において微小血管吻合を応用する遊離
組織移植が盛んに行われるようになり,術後の口腔機能を積
極的に保存してQ.O.L.の向上を図るようになってきた。
1987年から1993年までの7年間に当科で行った遊離前腕皮
弁による口腔癌一次再建術22例(男性14例,女性8例)につ
いて臨床的検討を行い,以下のような結果を得た。平均年齢
は57.6歳で,舌12例,口底・下顎歯肉各5例であった。高度
進展例が多数を占め,平均手術時間は10時間48分であった。
橈骨動脈との吻合には,上甲状腺動脈が過半数の症例で使用
されていた。22例中19例(86%)で皮弁の生着が得られた。
術後の構音機能および嚥下機能は全例良好またはほぼ良好で
あったが,4例(18%)に咀嚼機能不良が認められた。5年生
存率は79.4%であった。