静止性骨空洞の5例
横林康男,日出嶋康博,前田美智
之,川北小百合
富山県立中央病院歯科・口腔外科(主任:横林康男部長)
抄録:
静止性骨空洞は下顎骨の顎角部付近にみられる骨欠損である。今回私たちは,本
症と思われる5例を経験したので,その概要を報告する。
年齢別では,40歳代が1例,50歳代が2例,60歳代が2例で,平均年齢は56.4歳で
あった。性別では,男性3例,女性2例であった。部位別では,すべて片側性であ
り,左側が4例,右側がl例であった。形についてみると,3例が楕円形,1例が円
形,1例が半楕円形であった。大きさについては,CT写真にて測定したところ,近
遠心径は10〜17.5mm,頬舌径は5〜10mmであり,パノラマX線写真にて測定したとこ
ろ,近遠心径は12〜18mm,上下径は8〜14mmであった。陥凹が頬側の皮質骨にまで
及んでいたものが4例,及ばないものが1例であった。内容物については症例1,症
例4,症例5は脂肪組織,症例2は脂肪組織と結合組織が考えられ,症例3は脂肪組織
とリンパ組織であった。