Cephalometric Study on the Morphology of the First Cervical Vertebra to Craniofacial Structures.
(Part 1): Is There Any Relationship ?


Ronaldo G. Vergara, Tamaki Mohri, Shuichi Morita and Kooji Hanada
Department of Orthodontics, School of Dentistry, Niigata University (Chairman: Prof. Kooji Hanada)


抄録:
 通年,頭位の顎顔面の成長発育に与える影響が注目されており,それに関連して セファログラムで観察できる第一頚椎(アトラス)の形態が,頭位を反映した形態 を示し,顎顔面の成長発育の指標となる可能性があることが白人を対象とした研究 で報告されている。
 この研究の目的は,日本人学童を対象として,各年齢群の男子および女子の第一 頚椎セファログラム計測値の基準値を件成し,第一頚椎の形態が各年齢群の顎顔面 形態とどのような関連性があるかを明らかにすることである。
 学童(男子30名,女子19名)の,7,10,12,15歳時に撮影された側面セファロ グラムのトレースを行い,5項目の第一頚椎と12項目の顎顔面の形態の計測を行 い,第一頚椎の形態と顎顔面形態の各年齢群における関連性について検討し,さら に第一頚椎後弓の高径が高いhigh dorsal groupと,低い,low dorsal groupの顎 顔面状態を比較検討した。
 第一頚椎の,経時的な成長変化が明らかにされ,第一頚椎の後弓の高さと前後径 ならびにアトラスレシオ(指数)と顎顔面形態の計測結果から,いくつかの項目で 統計的に有意な相関が認められた。男子では,水平的な項目よりも,垂直的な下顎 オトガイ部の位置に相関が認められた。女子では,上下顎の前後的関係と下顎後方 部の回転様変化と関連していた。男女問では,異なった傾向を示し,また低年齢群 と高年齢群でも関連性が変化する傾向を示した。
 日本人学童においても,第一頚椎の形態が,顎顔面形態と何らかの関連性を有す ることが確認されたが,下顎の水平的な位置と関連した項目で関連がみられる欧米 人の報告結果と異なり,男子では下顎の垂直的な成長発育に関連した項目で相関が 認められた。一方,女子では上下顎の前後的関係と下顎の後方への回転との関連を 示したが,オトガイ部の永平的ならびに垂直的な位置とは関連性が認められなかっ た。顎顔面成長は,人種や男女間および年齢群によって傾向が変化し,それに伴い 第一頚椎と顎顔面形態の関連性も異なるので,臨床的な指標として用いる際にはそ の点を考慮する必要があると考えられた。


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