上顎洞を占有した腺様歯原性腫瘍の1症例 -病理組織学的および免疫組織化学的検索と文献的考察-


堀野一人1)、大西 真2)、村田雅史3)4)、朔 敬3)

1)新潟県立吉田病院歯科口腔外科(主任:堀野一人医長)
2)長岡赤十字病院歯科口腔外科(主任:大西 真部長)
3)新潟大学歯学部口腔病理学講座(主任:朔 敬教授)
4)新潟大学歯学部歯科保存学第二講座(主任:原 耕二教授)


抄録:
 11歳、女児に認められた腺様歯原性腫瘍の1症例を報告する。主訴は頬部の腫脹で、X線診査で左側上顎洞部に埋伏犬歯と小石灰化物を含む嚢胞様病変を認めた。全身麻酔下、病変を摘出し、病理組織学的検索を行った。腺様歯原性腫瘍の病理診断が得られ、特徴的な管腔様構造と塊状胞巣を認めた。管腔様構造内面の縁取りと内部の無定型内容物及び充実性胞巣内滴状物は好酸性及び好銀性多糖類に富み、また、免疫染色ではヘパラン硫酸プロテオグリカン、ラミニン、IV型コラゲンに強陽性であった。


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