歯科金属アレルギーが疑われる症例の臨床統計学的検討
橋本明彦、我田 健、西澤泰朋、山田浩之、折笠紀晶、草刈 玄
新潟大学歯学部歯科補綴学第二講座
(主任:草刈 玄教授)
抄録:
当科で金属アレルギーの治療を開始して以来、平成2年2月から平成8年2月までに133名が来院している。このうち、平成7年10月までにパッチテスト及び口腔内使用合金の元素分析共に終了した102名と、使用合金の除去を終了した33名の治療効果について臨床統計学的に検討した。来院患者の内訳は男性31名、女性71名で、パッチテストの結果感作陽性と判定されたのは80名(78.4%)であった。このうち口腔内にアレルゲン金属が存在したのは57名(55.9%)であった。主たる症状から診断された疾患は掌蹠膿疱症が30例と最も多く、皮膚炎・湿疹28例、舌痛症・burningmouth syndrome19例、扁平苔癬・口腔扁平苔癬15例、口内炎8例であった。アレルゲン金属の除去を終了した33症例のうち何らかの症状軽減効果が得られたのは27例(81.8%)であった。除去後の症状が不変だったものは、6例であった。アレルゲン金属除去後は純チタン、金銀パラジウム合金にて再修復を行った。除去有効だった症例に除去後の再発はなく、これらの症例では原因として口腔内使用金属が関与した、歯科金属アレルギーが疑われた。