ePTFEメンブレンによる組織再生誘導法の臨床的効果


小林 哲夫、櫻井 克也、奥田 一博、石原 二三、原 耕二
新潟大学歯学部歯科保存学第2講座
(主任:原 耕二教授)


抄録:
 成人性歯周炎と診断された27名の患者32歯(F 2級根分岐部病変11歯、3壁性垂直性骨欠損21歯)に、初期治療終了後、ePTFE(expanded polytetrafluoroethylene )メンブレン (Gore-Tex、GTRmembrane)を用いた組織再生誘導法 ( GTR法)を行った。初期治療後の評価値:プロービングポケット深さ(PPD),及び臨床的アタッチメントレベル (CAL)をベースラインとした。歯肉弁を剥離、スケーリング・ルートプレーニングを可及的に行ったのち、メンブレンを試適、縫合固定し、歯肉弁を戻し縫合した。術後4週から6週後にメンブレンを除去、術後6ケ月目に 再評価を行った。

その結果、

  1. F2級根分岐部病変を有する11歯のPPDは、術後6ケ月目でベースライン時と比べて垂直的に(平均1.5±1.4mm)、水平的にも(平均2.3±1.0mm)有意な減少が認められた。また、 臨床的アタッチメントレベル(CAL)は、平均0.9±1.6mmの獲得が認められた。
  2. 3壁性垂直性骨欠損を有する21歯のPPDはベースライン時に比べて有意に減少し(平均 3.1±1.7mm)、 CALは平均2.2±1.4mmと有意な獲得がみられた。
  3. F2級根分岐部病変、3壁性垂直性骨欠損ともに、GTRを施さないフラップ手術に比べてGTR法を併用すると、特に垂直性骨欠損において、臨床的アタッチメントレベルの著しい獲得がみられた。
    以上の結果より、ePTFEメンブレンを用いたGTR法はF2級根分岐部病変及び3壁性垂直性骨欠損部に有効であることが示唆された。

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